人間は、あまりにもつらい出来事や、受け入れ難い過酷な状況に出会うと、心がそれを拒否してしまい、その事に向き合うことができなくなってしまいます。
その出来事にふたをするようにして、まるでそれがなかったかのようにその後の人生を生きていくのです。あるいは、ずっとその感情を抱えたまま、誰にも一言も言わないままで、自分の一生を終えたりします。それがどうして、今生きている自分に影響するのでしょうか?
子供は親(自分が生きていくために必要な大人)がいないと、生きていくことができません。親が死んでしまうくらいなら、その原因になっている悲しみや苦しみを自分が背負うことで、親に生き続けてもらおうとするのです。これは不思議なことに、自分自身が生まれる前に起きることです。このことをファミリーコンステレーションでは、「もつれ」といいます 。
「もつれ」を背負うことで、自分ではない他の人の人生を生きることになります。まさしく、絡まってほどけないもつれた状態です。子供がもつれを引き受けるのは、純粋に親や祖父母などに対する愛でもありますが、家系が滞りなくスムーズに命を繋いでいけなければ、自分も生き残ることができないかもしれないので、ある意味、サバイブのためであるとも言われています。ファミリーコンステレーションの創始者であるバート・ヘリンガーは、著書 「愛の法則」で、子供達の盲目的な無邪気な愛と表現し、愛の深い子供がそれを引き受けると言っています。
